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SpringSoftがプロトタイプボードのデバッグを変える新製品「ProtoLink」を発表

2011年5月23日、カスタムIC設計環境ならびにハードウェア検証・デバッグソリューションを手掛けるSpringSoftは、新製品「ProtoLink Probe Visualizer」のリリースを発表した。

プレスリリース文

SpringSoftによると新製品「ProtoLink Probe Visualizer」は、FPGAベースのプロトタイプ・ボードのデバッグを効率化するためのソリューションで、一般的に「高速検証は可能でもデバッグし難い」と言われているFPGAプロトタイプ・ボードの利用者に、強力なデバッグ性能を提供するもの。基本的にプロトタイプ・ボードの種類を問わず、汎用品やカスタム品などあらゆるボードと組み合わせて利用できる製品で、専用のインタフェース・カード、ソフトウェア環境、ソフトIPで構成されている。

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※画像はSpringSoft提供のデータ

「ProtoLink Probe Visualizer」を利用する事で得られるユーザーのメリットは大きく2つある。一つはその画期的なプローブ技術により、従来手法とはケタ違いの速さで大量のプローブ・データを収集できる事。これまでの手法では、FPGA内の信号をプローブするとしてもその信号数は多くて100本程度で、プローブ信号を追加・変更するためには長時間に渡る論理合成と配置配線が必要だったが、「ProtoLink Probe Visualizer」を使えば数千本の信号、数百万クロック・サイクルのプローブが可能。最初のコンパイル以外は論理合成・配置配線を繰り返すことなく、ものの数分でプローブ信号を追加・変更できる。

ユーザーは、FPGA内の信号をプローブするために用意されるソフトIPを対象デザインと合わせてFPGAに実装し、専用のインタフェース・カードとケーブルを使ってプロトタイプ・ボードとPCを接続するだけでプローブ環境を構築可能。IP埋め込みにあたりごく僅かなFPGAリソースを消費する以外プロトタイプ・ボードのリソースは使用せず、プローブしたデータはインタフェース・カード上のメモリ(DDR2,4GB)に保存される。

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※画像はSpringSoft提供のデータ

「ProtoLink Probe Visualizer」のもう一つの大きなユーザー・メリットは、プロトタイプ・ボード上の論理回路をRTLでデバッグ出来るようになるという点で、「ProtoLink Probe Visualizer」でプローブされたデータはFSDBで同社のデバッグ環境「Verdi」に渡され、「Verdi」上でRTLコードからのデバッグを行なう事ができる。例え複数FPGAに分割マッピングされているデザインであっても、ユーザーは単一のRTLコードでデバッグ可能で、「Vedri」から「ProtoLink Probe Visualizer」にプローブ信号を追加することもできる。

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※画像はSpringSoft提供のデータ

現在のところ「ProtoLink Probe Visualizer」は、Xilinx製FPGAの搭載されたプロトタイプ・ボードのみをサポートしており、市販のプロトタイプ・ボードとしてSynopsysの「HAPS」やS2Cの「TAI Logic Module」、日立情報通信エンジニアリングの「Logic Bench」との接続を確認済み。FPGAにアクセスするインタフェースを合わせる事であらゆるボードに対応できるため、ボード接続に対する顧客の個別要求にも対応可能だという。

昨今、GateRocketやInPA SystemsなどFPGAプロトタイプ・ボードの新たなデバッグ・ソリューションを打ち出す企業が出てきているが、そのアプローチは各社各様でデファクト・スタンダードとなるソリューションは未だ存在していない。そんな中で登場したSpringSoftの「ProtoLink Probe Visualizer」は、独自の画期的なプローブ手法もさることながら、論理デバッグのデファクト・ツール「Verdi」のデバッグ能力をFPGAプロトタイプの世界に持ち込むという意味で非常に大きなインパクトがある。

SpringSoftが「プロトタイプ・ボードにおけるデバッグのパラダイムを変える」と意気込む今回の新製品は、既に先行顧客も存在しており、ビデオなど画像処理系アプリを扱うユーザーを中心に評価が進められているとの事。カスタム設計と検証の2大ソリューションを掲げる同社にとって、「ProtoLink Probe Visualizer」は「Verdi」ベースの強力なソリューションとして、間違いなくFPGAプロトタイプ分野における台風の目になるだろう。

※新製品「ProtoLink Probe Visualizer」は、第48回DACにて同社の目玉製品として展示される予定。価格は3年契約時で年間360万円の設定。

スプリングソフト株式会社

= EDA EXPRESS 菰田 浩 =

(2011/05/24 )

 

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