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Synopsysが新フォーマル・エンジンを搭載した新製品「Verification Compiler」を発表

2014年3月5日、Synopsysは機能検証向けの新製品「Verification Compiler」を発表した。

プレスリリース文

新製品「Verification Compiler」はどのような製品かと言うと、機能検証に包括的に対応するためのワンストップ製品で、シミュレーション、フォーマル検証、デバッグ、という一連の作業を単一環境で完結させるもの。そこには検証で用いる検証IPや検証のカバレッジ解析という要素も含まれている。

一般的な検証作業においては、シミュレータ、フォーマル検証ツール、デバッグ・ツールと個々の市販ツールを使い分けるケースが多いが、その理由の多くは、個別の優れた製品を選択したいという現場ニーズと各ツールを統合したソリューションが存在しないという2点に集約される。

シミュレータはさておき、フォーマル検証ツールに関しては大手EDAベンダ以外の製品が市場をリードする格好となっており、デバッグ・ツールに関してはSynopsysが一昨年買収したSpringSoftの「Verdi」がデファクト・ツールとして君臨していたため、「色々なEDAベンダの色々なツールで検証」という状況が当たり前だった。

今回Synopsysが発表した「Verification Compiler」は、これまでの当たり前の状況を見直すもので、自社のシミュレータ「VCS」、デバッグのデファクト・ツール「Verdi」、そして新たなフォーマル検証エンジンを密接に統合。シミュレーション、フォーマル検証、デバッグ、カバレッジ解析を単一環境で実行可能で、Synopsysの提供する全ての検証IPがこの環境上で利用できる。

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※画像は全てSynopsys提供のデータ


この「Verification Compiler」の大きな特徴の一つは、その新たなフォーマル検証エンジンで、これまで提供していたフォーマル検証ツール「Magellan」とは別のエンジンを新たに開発。Synopsysによると同エンジンは他の既存記述よりも3-5倍の速度とキャパシティを誇り、プロパティベースのフォーマル検証に加え、静的なローパワー検証、CDC検証、SoCコネクティビティ検証、シーケンシャル等価性検証、リント・チェックといった包括的な検証機能を提供するという。

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またSynopsysは「Verification Compiler」の開発にあたり既存のシミュレーション・エンジンにも手を加えており、制約付きランダム検証のパターン生成時間や、デザインのコンパイル時間、ローパワー・シミュレーションの実行時間などを改善。合わせて検証IPの実行速度やデバッグ用データベース・サイズの最適化を図ることで、Synopsysは総体的な検証パフォーマンスを5倍に改善できるとしている。

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尚、「Verification Compiler」は、一つのライセンスで同時並列的にシミュレーション、フォーマル検証、デバッグを実行可能であり、Synopsysはそのコンカレントなツール機能の運用と各ツール機能のシームレスな相互運用性により、検証全体の生産性を約3倍向上できるとしている。

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今回「Verification Compiler」の発表にあたり、NVIDIA,Cavium,Alteraの3社が先行ユーザーとしてコメントを寄せているが、同製品の正式リリースは今年12月の予定となっている。

日本シノプシス合同会社

= EDA EXPRESS 菰田 浩 =

(2014/03/06 )

 

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