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【51DAC】SynopsysがIoTアプリ向けに消費電力4μW/MHzを実現する超ローパワーDSPを開発

2014年6月1日-5日、カリフォルニア州サンフランシスコで開催された第51回Design Automation Conferenceの展示会レポート。

Synopsysは例年通り今回のDACに合わせ幾つかの新ソリューションを発表していた。ここではSynopsysがDAC直前に発表した新型の超ローパワーDSP「DesignWare ARC EM DSP Family」について取り上げる。

※ARC EM5D/EM7Dに関するプレスリリース文

「ARC EM DSP Family」は、超低消費電力が求められる常時動作を前提とした組込みDSPアプリケーション向けに開発されたDSPコアで、IoT機器の音声起動システムなどが一つのターゲットとされている。製品としては「ARC EM5D」と「ARC EM7D」の2種類の製品が用意されており、その最大の特徴はSmall&LowPowerだ。「ARC EM5D」は主要な40nm LPプロセスで実装した場合の最小面積は0.03mm角と非常に小さく、動作時の消費電力は僅か7μW/MHz。TSMC 28nm HPMプロセスで実装した場合、消費電力は4μW/MHzまで抑えられるとのことでまさに超ローパワーを実現する。

一方、性能面でも優れたパフォーマンスを発揮し、「ARC EM7D」は動作周波数は最大530MHz、演算能力は最大938DMIPSを実現。「ARC EM5D/EM7D」を利用すれば既存のDSPアプリケーションのパフォーマンスを維持しながら小型化、ローパワー化が可能で両コアでイタレーションすることで組込みDSPアプリ実装の最適解を見つけることが出来るという。

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「ARC EM5D/EM7D」は、ARCプロセッサ・ファミリ共通のARCv2 Instruction Set Architecture(ISA)に信号処理アルゴリズムを高速化するためのDSP命令セットを100以上追加しており、ユーザー独自の命令定義も可能。DSP処理に特化したコンフィギュアビリティの高いアーキテクチャで性能と消費電力の両面で最適化されており、オプションで浮動小数点ユニットやメモリ保護ユニットも用意されている。

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「ARC EM5D/EM7D」向けのソフトウェアは専用のツール・キット「MetaWare」を用いてC言語で開発することができ、豊富なソフトウェア・ライブラリによりビギナーでも容易にプログラミングできると同時に上級者による高度な性能の追求も可能。x86プラットフォーム向けのC++クラス・ライブラリも用意されている。また、高速シミュレーション用の命令精度のシミュレーション・モデル「nSIM」を出力できるほか、ハードとしての性能解析にはISS「xCAM」をコンフィギュレーションに応じて出力できる。

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ARCプロセッサ製品のプロダクト・マーケティング・マネージャーPaul Garden氏によると、「ARC EM5D/EM7D」はIoTの中心となる各種センサーや、オーディオ/音声処理を行う常時動作機器に最適なDSPソリューションで競合する製品は無く、市場における最も小さく最も低消費電力なDSPコアであるとの事。既に各種組込みシステムの市場でARCコアは年間約15億ユニットの出荷実績を誇っているが、今後その市場は更に拡大する見通しで、「ARC EM5D/EM7D」はIoTの世界で無くてはならない製品になるだろうという事だった。

日本シノプシス合同会社

= EDA EXPRESS 菰田 浩 =

(2014/07/11 )

 

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