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画像認識のFPGA実装で性能を競う!経産省/NEDOらが懸賞金付きAIエッジコンテスト開催

2019年11月18日、経済産業省、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下NEDO)、株式会社ディジタルメディアプロフェッショナル(以下DMP)、株式会社SIGNATE(以下SIGNATE)は、第2回AIエッジコンテストの開催をアナウンスした。

プレスリリース

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発表によるとAIエッジコンテストは、AIエッジコンピューティングを焦点とした人材およびアイデアの発掘と、同分野への参画者を増やすことを目的としている。今回、同コンテストの主催者・事務局のメンバーである、経済産業省 山瀬 大悟氏、NEDO 大杉 伸也氏、DMP 大渕 栄作氏、SINGATE 齊藤 秀氏および糸賀 拓馬氏にコンテストについて話を聞いた。

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写真左から大杉氏、齋藤氏、大渕氏、山瀬氏、(EDA-EX撮影)


■コンテストの概要

経産省の山瀬氏によると、今回実施される第2回AIエッジコンテストは、第1回コンテストに続いて経産省とNEDOの主導で企画されたもので、第1回コンテストが画像認識アルゴリズムの精度を競うものだったのに対し、今回は画像認識アルゴリズムをFPGAに実装しその処理性能を競うという点が大きな特徴。SIGNATEは前回に続いてAI開発の専門家という立場で自社のコンテスト・プラットフォームを提供し、DMPはエッジAIおよびハードウェアの専門家という立場でコンテストの企画・運営に参画している。山瀬氏によると、コンテストはこの先も年1回程度のペースで継続的に開催していく計画で、既に第3回、第4回の開催を計画しているという話だ。

■コンテストの内容

コンテストの内容詳細については、SIGNATEのWebページに情報が掲載されており、既にコンテストはスタートしている。

第2回AIエッジコンテストページ

応募期間は2020年の3月31日までで、個人でもチームでもコンテストにエントリー可能。最終的に2020年4月に上位5名の入賞者を決定する予定で、入賞者には懸賞金も用意される。ちなみにこの懸賞金はコンテストのスポンサー企業によって提供されるもので、SIGNATEの糸賀氏によると第1回コンテストでは総額200万円を超える協賛金が集まったという。

今回のAIエッジコンテストでは、Avnet社のFPGAボード「Ultra96(Zynq UltraScale+ MPSoC ZAU3EG搭載)」がターゲットに指定されており、希望者には書類審査を経て無料でFPGAボードが提供される。当然、自分でボードを購入してコンテストに参加しても構わない。また、お題となる画像認識アルゴリズム開発用の学習データとして、国内一般道の走行映像データ(画像数:28,470枚)などが無料で提供される。この学習用データは前回コンテストで提供したものと同じで、開発者にとって価値の高い学習データだという。

現在コンテストとしては、参加者にアルゴリズムの予測結果を投稿してもらい、FPGA実装の前段階として画像認識精度の最低基準を精査している状況で、間も無くその基準についての詳細がアナウンスされる予定。今回のコンテストは画像認識の精度ではなく処理性能を競うため、最低限の画像認識精度を満たしていれば、あとはいかにFPGAに実装して性能を出すかの勝負となる。DMPの大渕氏によると、FPGAだからといってハードだけで実装せずに、搭載されているArm CPUで処理しても構わないし、高位合成を使ってCからRTLを生成して実装でも構わないという話で、実装手段は問わないということだ。

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■コンテストの今後

コンテストの審査は2020年4月を予定しており、3月末までに集まった成果物と応募者が測定した処理性能をもとにその妥当性を検証し、入賞候補者を選出。最終的には候補者を招待した審査会を行い、実際のデモなどを経て入賞者を決定・表彰するという流れ。入賞者には、表彰、副賞のほかに、公益社団法人自動車技術会が2020年6月に開催する「自動運転AI チャレンジ」に参加する資格が与えられる。

自動運転AIチャレンジ案内ページ

まだコンテストは開始されたばかりで、アルゴリズムの精度検証への投稿が数件ある程度だが、精度基準が確定されると実装への動きが加速していく見通し。FPGAボードには数に限りがあり書類選考が必要となるため、コンテストへのエントリーを検討している場合は早めにFPGAボードの入手に動いた方が良いかもしれない。

ハードウェア設計のコンテストと言うと、国内では毎年沖縄で開催されている「LSIデザインコンテスト」が有名だが、寂しいことにその他には殆ど耳にしない。そんな中打ち出された今回の「第2回AIエッジコンテスト」は、画像認識アルゴリズムの学習とFPGA実装をセットで行うというチャレンジングな企画でもちろん国内では初の試み。どのような結果が出るのか今から楽しみだが、ハード実装に自信のあるエンジニアにとっては滅多に無い腕試しのチャンス。是非とも賞金獲得を狙ってコンテストにエントリーしてみて頂きたい。

なお、EDA Expressでは、今後も同コンテストについて経過や結果をレポートし、最終的に入賞者の方を取材させて頂く予定です。

経済産業省 
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 
株式会社ディジタルメディアプロフェッショナル 
株式会社SIGNATE 

= EDA EXPRESS 菰田 浩 =

(2019/12/11 )

 

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