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Cadenceが新型のエミュレーターとFPGAプロトタイピング・システムを投入、容量が2倍、性能が1.5倍に

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2021年4月6日、Cadenceは新型のハードウェアベース検証環境「Palladium Z2」と「Protium X2」を発表した。

プレスリリース

発表された新製品「Palladium Z2」と「Protium X2」は、それぞれCadenceの既存のエミュレーター「Palladium Z1」とFPGAベース・プロトタイピング・システム「Protium X1」をベースに改良されたもので、Cadenceによるとデザイン容量(対応可能な回路規模)は両製品共に2倍にスケールアップ、パフォーマンス(速度)は1.5倍に向上した。


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Cadenceはそのデザイン容量、パフォーマンスについて正確な数値を示していないが、「Palladium Z2」では100億ゲート以上、「Protium X2」では数十億ゲートのデザインに対応可能。「Palladium Z2」は数MHz、「Protium X2」は10MHz以上の実行速度が出せるようだ。

これら容量と性能の向上は、製品内で使用されているチップが変わったことによるもので、「Palladium Z2」内の専用プロセッサも「Protium X2」内のFPGAも恐らく1世代上のプロセス技術を用いたチップにアップグレードされた。恐らくというのはCadenceが発表でこれら内蔵チップについて明言していないからであるが、発表に寄せられたXilinxのコメントを見ると「Protium X2」は、16nm FPGA「Virtex UltraScale+ VU19P」をベースに開発されたと書かれている。これが確かであれば、「Palladium Z2」内の専用プロセッサも16nm チップという可能性が高い。

それはさておきCadenceとしては、製品内の搭載チップの詳細はソリューションの本質ではないと考えているようで、「Dynamic Duo」というキーワードでエミュレーターとFPGAベース・プロトタイピングの両ソリューションを提供している事に意味があると強調している。前世代製品の「Palladium Z1」と「Protium X1」がそうであったように、「Palladium Z2」と「Protium X2」もフロントエンドのインプリメント環境が同じであり、デザインの移行が非常に容易。つまり、エミュレーターで固めたRTLをすぐにFPGAプロトタイピング環境に移行してソフトウェアの検証を行うといった事が可能となる。日本ケイデンスの夏井氏によると、通常2〜3ヶ月かかるFPGAプロトタイピング環境の立ち上げも、「Palladium Z2」から「Protium X2」への移行であれば数日で完了できるという話だ。夏井氏はその大きな理由として、シンプルでインプリしやすい回路を吐き出すフロントエンド環境におけるコンパイル技術を挙げた。


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なお「Palladium Z2」はこれまで通り非常に高速なコンパイル性能が売りのひとつで、2億5千万ゲートのデザインで2時間以内、100億ゲート超のデザインでも10時間以内にコンパイルが完了すると公称しているが、これは控えめの数値で実際には2億ゲートのデザインを1時間程度でコンパイル可能だという。(Palladium Z1の実績)また、デザイン容量に関しても「Palladium」シリーズはかなり控えめな数値をユーザーに伝えているようで、実際に使用してみると公称値の1.5倍相当のデザインでも問題なく実装できてしまうようだ。

日本ケイデンスの夏井氏によると、海外ではエミュレーターのデザイン容量に対する要望が非常に強く、中には170億ゲートといった巨大なデザインを扱う顧客も存在するとのこと。市場における「Palladium」のシェアは強力で、メモリベンダを除くほぼ全ての半導体大手、ファブレス大手が「Palladium」のユーザーだという。また最近はソフトウェアの開発規模およびコストの上昇に伴い、エミュレーターだけでなくFPGAプロトタイピング環境に対してもより大きなデザイン容量が求められており、「Palladium」と共に「Protium」を導入する顧客が増えているという。今回の発表にはXilinxの他にArm, NVIDIA, AMDがコメントを寄せているが、いずれも「Palladium Z2」と「Protium X2」の両製品をIP/チップ開発に活用している顧客だ。


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ちなみにCadenceのホームページには「Palladium」関連の動画が幾つかアップされており、NVIDIAやキオクシア(東芝メモリ)が「Palladium」の導入について語っている。NVIDIAの建物の中で多くの「Palladium」の筐体が使われていることが分かる潜入レポート的なビデオなどもあり面白い。

NVIDIA Handles Complexity with Palladium Z1 Platform

Emulating Nvidia GPUs

Early Firmware Development on Palladium and Protium, Enables 1st Silicon Success at Toshiba Memory

日本ケイデンス・デザイン・システムズ社

= EDA EXPRESS 菰田 浩 =

(2021/04/06 )

 

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